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■ なぜ個人年金が必要なのか

日本が右肩上がりで成長していた一昔前までは、それほど老後資金について心配する必要はありませんでした。日本経済が成長している間は、給与は勤務年数と共に上がり、退職金をもらいながら、老後は生活水準を上回る公的年金が支給され、悠々自適な老後を送ることが可能だったのです。ところが、日本経済のバブル崩壊とともに古き良き時代は終わり、企業に実力主義制度が導入されると、かつてのような悠々自適の生活は難しくなりました。

この事態に追い討ちをかけるように、少子高齢化問題が加わり、公的年金支給額の削減・支給開始年齢の引き上げなど環境は一変しました。支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことを1つとってみても、サラリーマンの平成15年末における平均年金受給額は約270万円/年(社会保険庁調べ)ですので、単純に公的年金だけでも1350万円の年金受取額が減ることになります。これに、早期退職や退職金の減額分も含めると、総額で2,000〜3,000万円も減ることになり、これを自分で確保をしなければならなくなるのです。

この他にも1980年と現在の平均寿命を比較すると男性が73.35歳から78.64歳、女性が78.86歳から85.59歳へと、5〜6年も平均寿命が延びており、老後の生活資金も更に必要になってきます。こうして、老後の資金確保は自己責任への時代に突入したのです。

●老後に必要な貯蓄額

それでは、老後資金をまかなうために、預貯金だといくらぐらい必要なのでしょうか。
現在40歳の方と50歳の方を例にとって、必要貯蓄額を示したのが下の表になります。

年金受け取り開始前に年金受取人が死亡した場合は、それまでに払い込んだ保険料程度の死亡給付金が遺族に支払われます。また、「保障期間付」の場合は、保障期間中であれば年金受取人が死亡しても、遺族が代わりに年金を受け取れます。

●平成18年時点で50歳(昭和31年生まれの人)
前提条件 夫:昭和31年生まれ(サラリーマン)・平均給与37万円・60歳で定年退職予定
妻:昭和31年生まれ(専業主婦)・60歳迄に厚生年金加入期間なし・国民年金第3号被保険者期間40年
定年後の収入・支出共に85歳の誕生日までとして計算
必要貯蓄額 3,844万円  
定年後の収入 定年後の支出
年金種別 年金支給額 金額 費用項目 費用の内訳 金額
公的年金
(夫)
62〜64歳:122万円/年 4,306万円 生活費 月26.6万円×12ヶ月×25年間 7,980万円
65〜85歳:197万円 旅行・趣味 年間50万円×15年間 750万円
公的年金
(妻)
65〜85歳:79万円/年 1,580万円 予備費 子供の結婚資金・リフォーム等 1,000万円
収入合計 5,886万円 支出合計 9,730万円
参考資料:生活費は総務省「全国消費実態調査」
公的年金の計算:社会保険庁「自分でできる年金簡易計算」による

●平成18年時点40歳(昭和41年生まれの人)
前提条件 夫:昭和41年生まれ(サラリーマン)・平均給与37万円・60歳で定年予定
妻:昭和41年生まれ(専業主婦)・60歳迄に厚生年金加入期間なし・国民年金第3号被保険者期間40年
定年後の収入・支出共に85歳の誕生日までとして計算
必要貯蓄額 4,210万円  
定年後の収入 定年後の支出
年金種別 年金支給額 金額 費用項目 費用の内訳 金額
公的年金
(夫)
65〜85歳:197万円/年 3,940万円 生活費 月26.6万円×12ヶ月×25年間 7,980万円
旅行・趣味 年間50万円×15年間 750万円
公的年金
(妻)
65〜85歳:79万円/年 1,580万円 予備費 子供の結婚資金・リフォーム等 1,000万円
収入合計 5,520万円 支出合計 9,730万円
参考資料:生活費は総務省「全国消費実態調査」
公的年金の計算:社会保険庁「自分でできる年金簡易計算」による

上の表の2つのモデルケースで定年後の収入面を見ると、50歳の人の年金収入が5,886万円、40歳の人だと5,520万円と、約360万円少なくなっています。その理由は、平成6年の年金改正により順次支給開始年齢が引き上げられたため、40歳の人の年金受給の開始年齢が65歳なのに対し、50歳の人は62歳から受給できているからです。

定年後の支出面については、「生活費」、「旅行・趣味」、「予備費」の3つで考えています。生活費は前出の総務省の家計調査にあった、1ヶ月あたりにかかる生活費26.6万円を利用しています。60歳を定年と仮定し85歳までで計算しているので、その25年間にかかる生活費は、7,980万円になります。旅行や趣味などの娯楽費は年額50万円で15年間を想定しています。予備費とは、万が一のときのお金や子供の結婚資金など使用目的のあるもので、1,000万円としました。

収支計算をすると、50歳のケースでは9,730万円−5,886万円=3,844万円、40歳のケースでは9,730万円−5,520万円=4,210万円 老後資金が足りないことになります。この金額が60歳までに用意すべき必要貯蓄額になります。

●個人年金を利用した生活設計

それでは、60歳までに必要になる多額の老後資金をどのように準備していけばよいのでしょうか。今回は、生活費の不足部分について個人年金保険を利用して準備する方法をご紹介します。より多くの老後資金が必要な40歳のケースを例にとって見ていきましょう。
現在40歳の人は60歳で定年になり、年金が受給される65歳までは無収入の状態になります。下図のように、65歳以降は夫婦共に年金が受給できますが、1ヶ月あたり23万円なので、先ほどの26.6万円と比較すると、3.6万円の生活費が不足することになります。

そこで、公的年金では足りない部分を個人年金で補う方法を考えていきます。例えば、60歳から65歳までの無収入の部分については、1ヶ月あたり26.6万円の年金受取額で5年の確定年金に、65歳以降は、1ヶ月あたり3.6万円の年金が受取できる夫婦年金に加入するといった方法があります。65歳以降の個人年金保険については、年金受給期間が10年以上になるので、個人年金保険料控除の要件を満たす商品に加入し、税法上のメリットを享受するという選択肢もあります。

また、リスクは高くなりますが外貨建ての個人年金など予定利率の高い商品を選ぶことで、より少ない保険料で多くの年金を受給するという方法もあります。その場合、元本割れになってしまったときには預貯金で対応するなど、対策は検討しておく必要があります。生活費の不足分にリスクの高い商品を利用するのはあまりお勧めできませんが、旅行や趣味など娯楽費を補うものとして利用するのであれば、日常生活に直接影響を及ぼさないので、適しているといえるかもしれません。

収入や支出の変化に対応して老後の生活設計を行なっていくと、その時々にあった商品の選択や家計の見直しも考えやすくなります。定年時に退職金をある程度もらえるという方であれば、無収入の5年間をそれで補うことも可能です。
まずは、ご自分でシミュレーションを行ない、必要貯蓄額を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。ご自分に合った個人年金商品の検討し、より良い老後のライフプランを設計してみてください。



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